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2024.07.29
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開業届は、個人事業主として事業を開始する際に税務署に提出する届出書のことを指します。この届出書を提出することで、税務上の個人事業主としての扱いを受けることができます。
開業届は、個人としての事業開始を税務署に通知するための届出書です。これを提出することで、税務上、正式に個人事業主として認められます。
個人事業の開業・廃業等届出書 事業の開始、変更、または廃業を税務署に告知するための届出書です。事業開始から1ヶ月以内に提出が必要です。
青色申告で10万円または65万円の特別控除が受けられることです。
そもそも所得税は、その名のとおり、所得に掛かる税金のことです。この特別控除は、その所得から単式簿記で10万円または複式簿記で65万円を差し引くことができます。ただし、青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければ適用できないので注意が必要です。
青色申告の選択により、今年の損失を次年度以降(個人事業主では最大3年、法人では最大9年)の結果から免除することが可能です。ただし、青色申告を選択すると、次年度の利益から前年度の損失を放棄することが許され、税金の負担を軽減しますこの仕組みを純損失の繰越免除と呼びます。
事業用に取得した建物や機械、車などの資産は、10万円未満の場合、その年の経費として計上できます。10万円を超える場合は「減価償却資産」として数年かけて経費として計上するのが基本になりますが、。青色申告の事業主の場合、1つの資産が30万円以下であれば、購入・使用した年度に一括して経費に充てることができる特例があります。この特例の上限適用は、合計で300万円になります。
※この記事は2023年12月作成になります。
青色申告をしている場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することで、15才以上の家族に対する給料を経費計上できます。ただし、青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければ適用できないので注意が必要です。
参照:はじめてみませんか? – 青 色 申 告 – 国税庁
個人事業主としての証明となる開業届を持っていると、事業専用の銀行口座を開設することができます。個人の口座と個人事業主の口座は一緒にすると混ざってしまい、経費かどうか分からなくなることが考えられます。口座は分けておいた方が管理がしやすいです。
開業届は、個人事業主としての職業を証明する公式な書類としても使用することができます。
事業の信用性を示すための証明書類として、オフィスの契約や銀行からの融資の際に提出することができます。
個人事業主は国や地方自治体、商工会議所が実施するさまざまな支援制度を受けられます。応募期間が決まっているものや、支援条件が付いているものもあるので注意しましょう。
「ものづくり補助金」となっていますが、製造業だけでなく幅広い範囲の業種を支援する補助金制度です。クラウドサービス利用時の専用ソフトウェア購入費、その他の情報システムの購入経費などが補助対象となる可能性があります。補助金額の上限は1億円で、下限は100万円です。
幅広い範囲のフリーランス、個人事業主を対象とした補助金制度です。商工会議所または商工会に経営計画を提出して、アドバイスを受けることを条件に、50万円を通常枠の上限としていくらかの補助を受けられます。小規模事業者とはこの場合、常時使用する従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、 それ以外の業種の場合20人以下である事業者 です。
小規模事業者の販路開拓等の取り組みに対する支援を充実させるため、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠といった特別枠が拡充されています。インボイス枠は上限が100万円、それ以外の枠は上限が200万円です。
個人事業主として開業届を出すと、失業手当の受給資格が失われます。失業手当は「失業状態」にある人への給付金です。 そのため、開業届を出すと個人事業主となり、失業状態ではなくなるため失業手当を受け取ることはできません。 売上が無くても、開業届を提出した場合は受給の対象から外れるので開業届の提出するタイミングには注意が必要です。
扶養に入っている状態でも、開業はできますが年収が扶養に入るための条件を満たしている必要があります。開業後の収入次第で扶養から外れることがあるので注意が必要です。
扶養から外れると、所得税の計算上、扶養控除や配偶者控除が受けられなくなるということが考えられます。また、被扶養者としての健康保険証から、自ら健康保険の制度に加入する必要がでてきます。
年間の所得が一定額を超えると、確定申告が必要となります。個人事業主やフリーランスの場合は年間48万円以上、給与所得者は副業で年間20万円以上の所得を得たら確定申告が必要になります。
事業を開始する際、開業届の提出は義務付けられています。しかし、これを怠ったとしても罰則は科されるわけではないようですが、かといって開業届の提出を省略する理由にはならないことを認識しておきましょう。
では、なぜ開業届を提出するの?
開業届を提出しないと、青色申告ができない、屋号で銀行口座開設が困難になるなど不便がでてきます。
開業届は税務署を直接訪問するか、下記国税庁のWebサイトからダウンロードすることで入手できます。税務署に提出する分と自分の控え用として2部用意しましょう。
個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁
住所や氏名、業種といった基本事項のほか、屋号なども記載する必要があります。また、事前に従業員を雇うことが決まっている場合は、従業員の数や給与の支払状況などの情報も求められます。事業専従者給与に関する届け出や青色申告をする場合は、一緒に申請書を用意しておきましょう。
写真付きマイナンバーカードのコピーも提出が求められますので、事前に準備しておくとよいでしょう。
提出方法は税務署の窓口で直接渡す方法と郵便で送る方法の2通りがあります。窓口提出の場合は、提出用と控え用として、開業届を2部提出します。郵送では、提出用の開業届と控えのほか、マイナンバーカードの両面コピーと、切手を貼り付けた返信用封筒を、すべて封筒に入れて投函します。開業届が無事に受領されれば、返信用封筒に控えを入れて送付してくれます。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、青色申告は白色申告に比べ、税金面で有利になる特長があります。青色申告を行う際は、個人事業主として開業し、税務署へ所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。
2つの違いは会計帳簿で、青色申告は、原則として正規の簿記の原則に基づき記帳することが求められます。正規の簿記とは、損益計算書と貸借対照表を導き出せる組織的な簿記の方式をいい、一般的には複式簿記による記帳が該当します。仕訳帳・総勘定元帳といった主要簿のほか、現金出納帳・売上帳・仕入帳・商品有高帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳といった補助簿も記帳します。一見難しそうに見えますが、会計ソフトは充実しているので個人で作成される方も多いかと思います。不安な際は税理士に依頼すると安心ですし、その分事業に専念できるでしょう。
インボイス制度は、消費税の取扱いに関する新しい制度です。個人事業主もこの制度に登録することで、消費税の取扱いが変わる可能性があります。インボイス制度への登録は任意であるため、個人事業主はインボイス制度に登録する義務はありません。 ただし、取引先から求められる可能性があるので、事業の状況によっては登録を検討しておきましょう。
インボイス制度の導入は、個人事業主やフリーランスに大きな影響を及ぼすとされています。
あらかじめ税務署に登録・申請をおこなっている「適格請求書発行事業者」のみが発行できる適格請求書がない場合、仕入れ税額控除を受けることができません。
請求書や納品書を発行する際にも、適格請求書に記載された「適格請求書発行事業者の登録番号」を記載できないため、仕入れ税額控除を受けることができないのです。
そのため、免税事業者である個人事業主(フリーランス)は、仕事上さまざまな場面で影響を受ける可能性があると考えられています。
個人事業主の中でも、取引先が企業などの課税事業者にあたり、年間の売上が1,000万円以下とされる「免税事業者」は、影響があります。インボイス制度が始まると、次の2つの選択を迫られることになります。
1.インボイス制度に登録して、顧客事業者にインボイスを提出し、顧客が節税できるようになる。その代わりに消費税10%分も納税する、という選択肢です。
2.インボイス制度には登録しないけれども、売上1,000万円以下であれば、消費税も納税しなくても良い、というものです。
この場合、インボイス制度に登録しないため、請求書は今まで通りのものを発行し、発注事業者に渡すことになります。
免税事業者のままでいれば、これまでと同様に消費税の納付が免除されます。 消費税の確定申告を行う必要はないですが、適格請求書(インボイス)を交付できない免税事業者は、取引金額の値下げを求められたり取引自体を打ち切られてしまったりする可能性があります。
課税事業者としてインボイス制度を採用した場合、消費税の取扱いが大きく変わります。具体的には、取引ごとに消費税の額を明確にすることが求められるようになります。この制度の導入によって、消費税の計算や申告の精度が求められるようになるため、適切な帳簿の管理や経理の知識が必要となります。
開業届は、個人事業主として事業を開始する際に必要な手続きの一つです。開業届を提出することで、税務上の様々なメリットを享受することができますが、それと同時に注意点や義務も伴います。また、インボイス制度の導入により、消費税の取扱いに関する新たな変更が予定されているため、常に最新の情報をキャッチアップし、適切な手続きを行うことが求められます。個人事業主としての活動をスムーズに進めるためには、これらの手続きや制度についての理解と適切な対応が不可欠です。
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