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個人事業主に「給与」は存在しない?

2024.10.24

給与

青色申告

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7分

起業を考えている方や、起業して間もない方にとって、収入管理は大きな不安要素かもしれません。しかし、適切な計画と管理を行えば、その不安は解消できます。個人事業主は、会社員のように毎月固定の給与を得るわけではなく、収入は売上に依存するため波がありますが、ビジネスが成長すれば、収入も次第に安定していくでしょう。報酬の計算や税金のルールを正しく理解し、収入と支出を計画的に管理することで、事業と生活の両方を安定させることが可能です。

個人事業主にとって「給与」という概念は、会社員とは全く異なります。会社員は毎月決まった給与を得て生活費を賄いますが、個人事業主の場合、売上がそのまま生活費に直結するため、収入は不安定です。ビジネス全体を自分で管理し、利益が自分自身の報酬となります。その一部を生活費として取り分けることが、事実上の「給与」に相当します。

ここで言う「給与」は、自己報酬、つまり自分自身に対する支払いです。報酬をどのように計算し、どのように支払うかは個人事業主の自由ですが、税金の観点から一定のルールが存在します。これらを正しく理解し、適切に管理することで、事業の成長と生活の安定を図ることができるのです。これから、具体的な管理方法について詳しく見ていきましょう。


個人事業主の収入管理


個人事業主には従業員に支払う給与のような概念が存在しません。これは、自身に給与を支払い、それを経費として計上することが可能になると、給与の金額を操作して事業所得をゼロにし、税金の支払いを回避できてしまうためです。
個人事業主の報酬は、売上から売上原価や経費を引いた後の利益に相当します。この利益が、事実上の報酬となり、個人の生活費を賄うことになります。


利益を計算する上で注意が必要なのが、仕入れ費用、売上原価、および経費の扱いです。仕入れには、事業に直結する商品や原材料の購入費用、それらの送料などが含まれます。「期初在庫+当期仕入れ-期末在庫」によって計算されるのが、その年の売上原価です。


経費は、仕入れを除く事業運営に必要なすべての費用を指します。これには、家賃、水道光熱費、通信費、交通費、消耗品購入費、従業員への給与支払いなどが含まれ、多岐にわたります。
個人が支払った費用が事業経費に該当する場合、これを確定申告において申告することで節税に繋がる可能性があります。


したがって、個人事業主は、どのような費用が経費として認められるかを正確に理解し、適切に管理することが重要です。確定申告の期限が迫ってから税理士に相談するよりも、事前にしっかりと準備をしておくことが重要です。


個人用と事業用の財布の分け方


事業と個人の財布をどう分けるかは、個人事業主にとって意外と難しいです。
個人事業主として活動を始めたら、まずは事業関連の財務と個人の財務を明確に分けて管理することが大切です。これには、銀行口座と財布をそれぞれ事業用と個人用に区分けして使用する必要があります。

そして事業の財務管理に欠かせないのが帳簿の管理です。一般的に、帳簿は複式簿記の方法で記録され、確定申告の際には現金出納帳、売掛金帳、買掛金帳、経費帳、固定資産台帳などが必要になります。これらの帳簿は会計ソフトを活用することをおすすめします。

また銀行口座も同じにすると個人の支出か事業経費か分からなくなってきます。とはいえ一般的に、同じ金融機関内において普通預金口座は「原則1人1口座」となっており作成できないので、別の銀行で普通預金口座を作ることをおすすめします。

個人事業主は確定申告が必要



確定申告は、1年間に得た所得に対して、納めるべき税金を計算し、国に申告し納税する手続きを指します。
多くの給与所得者にとって、年末調整によって税金が計算されるため、確定申告の必要はありません。しかし、個人事業主やフリーランスといった事業所得を得ている人々、または給与所得や年金受給のみならず副業等で年間20万円を超える収入がある人は、自ら確定申告を行う必要があります。


確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの期間に得た所得と、それに対する所得税を計算し申告します。所得に対してすでに源泉徴収された税金や予定納税額との差額を精算することも含まれます。もし予定納税額や源泉徴収税額が実際の納税額を上回っていれば、過払い分の還付を受けることができますし、逆に納税額が不足していれば差額を支払う必要があります。また、年末調整では適用されない特定の控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

確定申告の必要性は、日本の所得税制度が納税者自身に納税額の計算から納税の実施までを求める「申告納税制度」に基づいているからです。一定条件下で年末調整が完了している給与所得者や、確定申告の義務が免除される収入レベルの人を除き、所得がある人は必要に応じて所得税を納めることが求められます。

さらに、確定申告は期限内に行わなければペナルティが科される可能性があるため、期限を守ることが重要です。

個人事業主と会社員の確定申告の違い

給与所得者の場合、所得税や住民税、健康保険料などの手続きや納税は、通常、雇用主が担当します。給与から所得税を源泉徴収し、年末には過不足を調整する年末調整が行われます。一方で、個人事業主はこれらの税金や保険料に関する計算や手続きを自分自身で行う必要があり、所得税については自ら確定申告をする必要があります。

白色申告と青色申告の違い

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、対象者は期限までに書類を作成し納税をすることが義務づけられています。 青色申告するには事前に税務署への届出が必要になるため、その手続きをしていない場合は自動的に白色申告となります。

会計帳簿を作成する際には、さまざまな方法がありますが、「精密な帳簿を作成すること」が重要です。より詳細で正確な情報を記載する帳簿作成をおこない、それに応じて税務上の控除や特典が受けられる制度が青色申告です。

一方、白色申告では簡易な帳簿で十分とされていますが、青色申告に比べて得られる特典は少なくなります。白色申告者は青色申告で提供される特典を受けることができません。

個人事業主が法人化を考えるタイミング


個人事業主が事業を法人化する際には、利益、売上、節税の三つの観点から適切なタイミングを見極めることが重要です。事業が一定の利益や売上を達成している場合、法人化によって税務上のメリットを享受できる可能性があります。しかし、一方で法人化に伴う高い納税負担が生じるリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。


一般的に、年間の所得が一定額を超えると法人税率の方が個人の所得税率よりも低くなるため、税負担を軽減するために法人化を選択する事業主もいます。また、ビジネスの拡大や事業の継続性を保証するため、または信用力向上のために法人化を選択する事業主もいます。ただし、法人化には設立費用や維持費用、法人としての業務負担が増えるなどのデメリットもあるため、慎重に考える必要があります。

まとめ

個人事業主にとって、収入管理や自己報酬の考え方は会社員時代とは大きく異なります。売上や利益が直接生活に影響を与えるため、正確な報酬計算や税金ルールの理解、収入と支出の適切な管理が重要です。これらを正しく行うことで、事業の成長と生活の安定を実現できます。

最初は難しく感じるかもしれませんが、起業を成功させるために必要な要素です。売上や損益、キャッシュフローをしっかり確認するためには、帳簿を正確に管理することが不可欠です。これらを怠ると、失敗のリスクが高まります。起業を成功に導くための重要な部分ですので、ぜひ積極的に学んでいきましょう。

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