LOADING
2025.07.04
読了時間目安
4分
起業初期の資金繰りに悩む若手起業家は多いものです。事業を軌道に乗せるためには、売上を伸ばすだけでなく、「手元の現金」をしっかりコントロールすることが不可欠です。この記事では、資金繰りとキャッシュフローの違いから、起業初期に押さえておきたい管理のコツ、失敗例まで、実践的なノウハウをわかりやすく解説します。資金ショートを防ぎ、安定した経営を目指すためのヒントをぜひ参考にしてください。
まず、「資金繰り」と「キャッシュフロー」の違いを押さえましょう。
資金繰りとは
将来の入金・出金を予測し、必要な現金を確保するための管理活動です。たとえば「来月の支払いに備えて今どれだけ現金が必要か」「今月末に入金があるか」など、日々の現金の流れを予測し、資金ショートを防ぐための実務的な管理を指します。
キャッシュフローとは
一定期間(たとえば1ヶ月や1年)における現金の増減を示すものです。キャッシュフロー計算書は「過去の現金の動き」を記録し、経営の健全性を把握するための資料となります。
・資金繰り=未来の現金の流れを予測・管理する「実務」
・キャッシュフロー=過去の現金の流れを把握する「記録」
このように、資金繰りは日々の経営管理、キャッシュフローは経営分析や報告のために使われることが多いですが、どちらも会社の「お金の健康状態」を知る上で欠かせません。
また、黒字経営でも手元の現金が足りずに倒産する「黒字倒産」は、資金繰り管理の失敗が主な原因です。起業初期こそ、資金繰りとキャッシュフローの違いを理解し、両方を意識した経営が重要です。
キャッシュフロー管理の第一歩は、「キャッシュイン(現金収入)」と「キャッシュアウト(現金支出)」を正確に把握することです。
・商品やサービスの売上
・融資や補助金の入金
・資産売却による現金化
・仕入れ・外注費・人件費
・家賃や水道光熱費などの固定費
・設備投資や広告費
これらを日・週・月単位で記録し、資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成しましょう。
資金繰り表
将来の入出金予定を一覧化し、資金不足リスクを早期に発見するためのものです。
キャッシュフロー計算書
営業・投資・財務の3つの区分で現金の流れを把握し、経営の健全性をチェックするために役立つものです。
加えて、「フリーキャッシュフロー(自由に使える現金)」という指標も重要です。これは営業活動で得た現金から、設備投資など必要な支出を差し引いたもので、事業拡大や新たな投資に使える余裕資金を示します。
ここからは、起業初期に実践したいキャッシュフロー管理のポイントを具体的に紹介します。
・日・週・月単位での資金繰り表を作成し、入金・出金スケジュールを可視化
・資金不足リスクを早期に発見できるため、急な支払いにも慌てず対応可能に
・GoogleスプレッドシートやExcelのテンプレートを活用すると便利
・売掛金の早期回収や、前払い契約の導入を検討
・クレジットカードやオンライン決済を導入することで、現金化までの期間を短縮可能
・早期支払いインセンティブ(割引など)の活用も有効
・仕入れ先や外注先と支払いサイト(支払い期限)の交渉を行い、できるだけ支払いを後ろ倒しにする
・分割払いやリース契約を活用し、初期の現金流出を抑える
・固定費(家賃・人件費・サブスクリプションなど)を定期的に見直し、不要な支出をカットする
・変動費(仕入れ・広告費・在庫管理など)は、最適な水準を見極めてコントロールする
・最低でも3ヶ月分の運転資金を手元に確保することを目標に
・予測不能なトラブル(売上減少・入金遅延・災害など)への備えとして、緊急用の資金を用意しておく
起業初期は人手も限られ、資金管理にかける時間も限られます。そこで、以下のような便利なツールやサービスを活用するのがおすすめです。
・資金繰り表・キャッシュフロー計算書のテンプレート(Excel、Googleスプレッドシートなど)
自社に合ったテンプレートを活用するとスムーズです。
・クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)
入出金管理や資金繰り予測が自動化できて便利です。
・資金管理アプリ(Moneytree、Zaimなど)
スマホで手軽に現金の流れをチェックできます。
・専門家(税理士・会計士)や支援機関(商工会議所、日本政策金融公庫など)
資金繰りやキャッシュフロー管理の相談先として活用しましょう。
失敗例と対策を知っておくことも大切です。
・資金繰り表を作らず現金不足に陥る
日々の現金の流れを把握せず、突然の支払いに対応できなくなるケースが多いです。
→ 対策:資金繰り表を必ず作成し、定期的に見直しましょう。
・入金遅延・売掛金回収トラブル
売掛金の回収が遅れると、資金ショートの原因になります。
→ 対策:契約書で支払い期限を明記し、定期的な回収状況のチェックを徹底しましょう。
・固定費の見直し不足
売上が減少しても固定費が下がらず、赤字経営に陥ることがあります。
→ 対策:定期的にコストを見直し、不要な支出を削減しましょう。
・資金調達のタイミングミス
資金が足りなくなってから慌てて融資や補助金を探すと、間に合わないことも。
→ 対策:資金繰り表で先を見越し、早めに資金調達の準備を進めましょう。
起業初期は売上が安定せず、予期せぬ支出が発生しやすい時期です。しかし、適切なキャッシュフロー管理術を身につけておけば、資金ショートのリスクを大きく減らせます。「資金繰り表の作成」「入出金サイクルの見直し」「コスト削減」「予備資金の確保」など、基本を徹底することが安定経営の鍵です。便利なツールや専門家の力も活用し、資金繰りを安定させて、あなたのビジネスを着実に成長させていきましょう!
この記事を読んだあなたに
おすすめの記事