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2024.08.06
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6分
会社(法人)設立後に必要な手続きは、必要な書類や提出期限が異なるため、各手続きに必要な書類、提出すべき機関、提出期限などを正確に把握し準備することが重要です。この記事では、設立後に行うべき各種手続きについて、必要な書類や提出先の自治体などを詳細に解説しています。
法人登記・会社設立のあと行う手続きを見てみましょう。
通常、新しい会社を立ち上げるときは、法人名義の銀行口座を開設することが推奨されます。これによって、業務上の入金や振込などの金銭取引を個人の口座とは別に管理できるようになります。法人口座を開設することは義務ではありませんが、多くの利点があります。例えば、融資を受ける際に必要になることがあるほか、法人口座を持つことで社会的な信用を築きやすくなり、法人名義のクレジットカードを作成できる、個人の財産とは別に資産を管理できるなどのメリットがあります。
法人の口座開設には以下の書類が必要です。
1.法人の印鑑登録証明書(発行日から6か月以内)
2.履歴事項全部証明書(発行日から6か月以内)
3.建物謄本もしくは賃貸借契約書(Webでの申込の場合必須です)
4.お手続者の本人確認書類
5.主たる事業の許認可証(有効期限内のもの。ただし、許認可が不要な事業の場合は不要です)
法人格などによって、必要書類や申込方法が異なります。
くわしくは法人口座開設申し込み時にご確認ください。
会社設立後は、いくつかの保険関連の手続きが必要です。労働保険に関しては、労働保険保険関係設立届や労働保険概算保険料申告書を地域の労働基準監督署に提出する必要があります。また、雇用保険についてはハローワークで手続きをおこない、厚生年金と健康保険については年金事務所での手続きが必要です。
法人住民税・法人事業税に関する手続きは、本店所在地となる都道府県税事務所と市町村役場に法人設立届出書の提出が必要となります。
この地方税の手続きは、税務署の手続きとは別であり、非営利法人を含む全ての法人がこの届出を行う必要があります。提出する書類の形式や期限は、都道府県や市町村によって異なるため、詳細は各自治体のウェブサイトで確認することが重要です。
法人税の手続きは、会社の本店所在地がある管轄税務署で行います。
手続きする場所は法人の本社がある地域の税務署を確認してください。
参考:税務署の所在地などを知りたい方|国税庁
必要書類は法人設立届出書(新設法人向け)、法人番号(設立登記後に国税庁から送付される「法人番号通知書」で確認できます)。
法人設立届出書は下記よりダウンロードできます。
法人設立届出書|国税庁
個人事業主で開業届を提出していた方は個人事業の廃業届の提出が必要になります。
個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁
青色申告承認申請書
1期目から青色申告を受ける場合に提出を行います。
青色申告の承認申請書|国税庁
給与支払事務所開設届出書
会社が役員や従業員への給与支払いを行うための事業所を設立した際に必要となります。たとえ一人で会社を経営している社長であっても、自らに役員報酬を支払う予定がある場合はこの届出が必要です。また、設立当初は役員報酬を設定していなくても、将来的に報酬を支払う可能性がある場合には、先行してこの書類を提出することが推奨されます。
給与支払事務所開設届出書|国税庁
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
この申請書は、従業員に対する給与から徴収する源泉所得税の納付方法に関するものです。通常、源泉所得税は徴収日から翌月10日までに納付する必要がありますが、この特例承認を受けることで、納付を年2回にまとめることが可能になります。
特に、従業員数が10人未満の小規模事業所がこの特例の対象です。毎月の納付業務の負担を軽減するため、該当する事業所にはこの申請の提出が推奨されます。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書|国税庁
役員報酬は、会社の役員に支払われる報酬のことです。株式会社の場合、役員とは取締役、会計参与、監査役などが該当します。自分で会社を設立した場合、役員報酬の金額を自分で決めることができますが、その設定には従業員の給与とは異なる特有のルールがあります。ここでは、役員報酬の基本的な知識や設定の手順、注意点について説明します。
役員報酬と従業員の給与の違いは、税法上の扱いや決め方のルールにあります。役員報酬は通常、年度を通じて一定であり、増減は株主総会の承認が必要です。また、従業員の給与は全額が損金に計上できるのに対し、役員報酬を損金計上するには特定のルールに従う必要があります。
役員報酬を損金として計上すると、法人税が減少しますが、役員個人の所得税が増加する可能性があるため、全体の納税額が増えることもあります。このため、適正な金額を設定する際には税理士などの専門家と相談することが望ましいです。
社名(商号)、事業目的、所在地、資本金、会計年度(事業年度)などの基本事項を決定します。
法務局に法人設立登記を申請する際に必要な会社の実印を作成します。社名が決定したら、銀行印と角印(社判)も同時に作成しておくと便利です。セットで購入するのがおすすめです。
定款は、会社運営のルールをまとめた文書です。株式会社では、作成した定款を公証役場に提出し、認証を受けます。合同会社、合資会社、合名会社では認証は不要になります。
資本金は、発起人の個人口座に振り込みます。資本金の下限は法律で定められていませんが、初期費用として運転資金の3ヶ月分を加えた額を準備することが推奨されます。資本金が少ないと、事務所を借りる際の契約料や備品購入の開業資金が足りなくなるおそれがあります。
上記手順を完了した後、法務局に法人登記を申請します。登記申請を行った日が、正式な会社設立日となります。
事業開始の際には、事業計画書の作成が極めて重要です。この計画書は、目標達成に向けた行動計画を具体化し、目標や経営戦略を詳細に定めたものです。これがないと、事業の進行に関する明確な指針が欠け、将来の方向性や次のステップが不明確になります。また、ビジョンを共有し、協力者を得るためにも事業計画書は不可欠です。
特に資金調達の際には、事業計画書が重要な説得力を持ちます。融資や補助金を求める際に金融公庫、信用金庫、銀行からのサポートを得るためには、それぞれの要件を把握し、適切な申請書類を準備することが必要です。また、一緒にビジネスをするパートナーにも事業計画を共有することでより同じ方向を理解し目標に向かって進めることが期待できます。
会社設立後の手続きは多岐にわたり、時間的な優先順位を考慮する必要があります。正確で迅速な手続きが、ビジネスの成功の基盤を築きます。
設立後に必要な手続きは、必要な書類や提出期限が異なるため、各手続きに必要な書類、提出すべき自治体、提出期限などを正確に把握し準備することが重要です。
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