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2026.05.06
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5分
起業初期に押さえておきたい“お金と仕組み”の知識をテーマ別にお届けする「知って得するシリーズ」。第4弾のテーマは「保険・創業融資・資金繰りノウハウ」です。
この記事では、保険の基本、創業融資の全体像、創業後1〜2年の資金繰りの考え方を整理します。
過度な借入や過剰な保険加入を避けつつ、「必要な守り」を固めることで、安心して攻めのチャレンジを踏み出せる土台をつくりましょう。

創業期は、プロダクトづくりやマーケティングなど「攻め」の部分に時間とお金を使いがちです。しかし、事業が安定していない段階ほど、売上のブレや予期せぬ出費が手元資金を圧迫します。大型案件の延期や設備の故障など、創業期には「まさか……」が起こりやすいものです。
そんなとき、最低限の保険や頼れる融資枠がまったくないと、短期間で資金繰りが苦しくなる「資金ショート」に追い込まれる可能性があります。逆に言えば、「どんなリスクに、どこまで備えるか」をあらかじめ決めて、必要な保険や創業融資をうまく組み合わせて安心材料を用意しておけば、新しいチャレンジもしやすくなります。

法人や一定規模の事業者に求められる健康保険・厚生年金などの社会保険、従業員を雇う場合の労災保険・雇用保険などです。
労務トラブルや万一の事故時のリスクを抑えるための、最低限のインフラと言えます。
事業内容に応じた任意保険として、代表的な例を挙げます。
・賠償責任保険(PL保険)
製造・小売・飲食などで、他人の身体・財物に損害を与えるリスクに備える保険。
・損害保険(火災保険・店舗総合保険など)
オフィスや店舗の火災・設備故障に備える保険。
・所得補償保険
経営者自身の病気・ケガによる収入減に備える保険。
優先すべきは、
・法律・取引上必須なもの
・事業継続に致命傷となるリスクをカバーするもの
それ以外は、売上や資金繰りの状況を見ながら段階的に検討するのがおすすめです。

創業期に利用しやすい資金調達ルートは次の3つです。
・日本政策金融公庫(日本公庫)
・信用保証協会付き融資
・自治体の制度融資
日本政策金融公庫(日本公庫)
創業者向け融資に積極的な政府関係金融機関で、起業から概ね7年以内を対象とした創業融資があり少額でも相談しやすいのが特徴です。
参考:日本政策金融公庫丨新規開業・スタートアップ支援資金(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
信用保証協会付き融資
銀行や信用金庫などの民間金融機関の融資に、信用保証協会が保証人として入る仕組みです。保証協会がリスクの一部を負ってくれるため、融資を受けやすくなります。
お住まいの地域の信用保証協会のホームページなどで、創業向けの保証制度や相談窓口を確認してみてください。
自治体の制度融資
自治体が金融機関・信用保証協会と連携して実施するもので、金利や保証料の一部を負担してくれる場合もあります。
『自治体名+ 制度融資』などで検索すると、自治体ごとの制度一覧や相談窓口のページを見つけやすくなります。見つけたページで、利用条件や金利、保証料などを確認してから検討しましょう。
「いきなりメガバンクに相談」するより、上記のような「創業・中小企業向けに日常的に対応している窓口に相談」する方が、話を聞いてもらいやすく、自社の状況に合った条件も得やすくなります。

創業融資の審査では、自己資金の有無・割合、事業計画の具体性と収益性、起業分野での経験、既存の借入状況などが総合的に見られます。
なかでも自己資金は、本気度や日頃の資金管理の丁寧さを示す指標として重視されがちです。
また、実際にどこから借りるかを選ぶときも、「金利が一番低い」という一点だけで判断するのはおすすめできません。保証料や担保の有無、返済期間、据置期間、創業者向け優遇メニューなどを含めた「総合条件」で比較することが大切です。
「金利・保証料・返済期間・担保・据置期間」などの条件を一覧表にし、自社のキャッシュフローと並べて見ると、無理のない借入額や返済計画を検討しやすくなります。

金融機関や信用保証協会は、「一度借りて終わり」ではなく、長期的なパートナーとして考えましょう。
初回相談の前には、少なくとも次のような資料を準備しておくとスムーズです。
・事業の概要がわかる資料(事業計画書、サービス紹介など)
・簡易収支計画と3〜6カ月分の資金繰り表
・自己資金や既存借入の状況がわかる資料(通帳コピーなど)
面談では、「これくらい借りられたら嬉しい」という希望額よりも、
・何に使う資金か(資金使途)
・どのくらいの期間で、どのように返済していくか
を、自分の言葉で説明することが重要です。
借りた後も、業績の良し悪しにかかわらず定期的に状況報告をしたり、設備投資や事業拡大の前に相談したりすることで、「きちんと情報共有してくれる経営者」という信頼を積み重ねられます。

創業後1〜2年は、「黒字なのにお金がない」「気づいたら口座残高がギリギリ……」という状況に陥りやすい時期です。そんな状況を防ぐために、月次の資金繰り表を作り、「いつ・いくら出ていくか/いつ・いくら入ってくるか」を前もって可視化しましょう。
資金繰り表の基本的な考え方は、
『期首残高+当月の入金予定−当月の出金予定=月末残高』。
3〜6カ月先までざっくりでも、売上入金や仕入れ・外注費、家賃、給与、税金・社会保険料、返済額などを書き出すと「どの月に資金が薄くなりそうか」が分かります。
売上が伸び始めたタイミングは、追加投資の誘惑も大きくなりますが、同時に返済額も増えていく時期です。
この段階で、保険や金利・返済期間の見直し(借り換え)も並行して検討すると、成長の勢いを止めずに資金繰りの安定感を高められます。

check1)今加入している保険の洗い出し
現在加入している保険をすべて書き出し、
・必須(法律上・契約上必要)
・任意だが必要
・不要かもしれない
の3区分で仕分けします。従業員を雇っているのに雇用保険の手続きが漏れていないか、売上規模に対して保険料負担が重すぎないか、といった観点で見直しましょう。
check2)創業融資の候補先リストづくり
「どこに相談できるか」の候補先をリストアップします。
・日本政策金融公庫
・地元の信用金庫・地銀
・自治体の制度融資窓口
などを横並びにして、「相談窓口」「相談した日/相談予定日」「聞きたいことメモ」といった欄を設けておくと、「まずはここに電話してみよう」と動き出しやすくなります。
check3)3〜6カ月分の簡易資金繰り表をつくる
縦に「月(○月、○月、○月…)」、横に「期首残高/入金予定/出金予定/月末残高」を並べたシンプルな表で構いません。ExcelやGoogleスプレッドシートでテンプレートを作っておけば、毎月数字を更新するだけで、「いつ資金が薄くなりそうか」「追加の資金調達が必要になりそうか」を早めに把握できます。

創業期こそ「必要な守り」と「運転資金の確保」を押さえておくことで、資金不安に振り回されずに、売上づくりやプロダクト磨きに集中できます。
金融機関や保証協会を「長期的なパートナー」として捉え、資金繰り表を更新する習慣を持つことが、創業期のチャレンジを支える一番の保険になります。まずは“守りの資金チェック”をして、自社の現状を棚卸ししてみてください。
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