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2026.05.22
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5分
会社を設立した直後は、登記や口座開設など、やることが一気に増えます。
中でも見落としやすいのが「税務署や自治体への各種届出」といった税務まわりの手続きです。
これらの届出の多くには締め切りがあり、手続きを忘れるとペナルティや控除の受け漏れにつながる場合があります。
この記事では、法人を立ち上げた起業家や、フリーランスから法人成りした方に向けて、「会社設立後の手続きチェックリスト【税務編】」として、設立から3カ月前後で確認したい主な税務手続きをまとめました。
※この記事の内容は、2026年2月時点で公表されている情報(国税庁や自治体など)をもとに作成しています。制度改正の可能性があるため、詳細は必ず各機関の最新情報をご確認ください。

会社設立後に必要となる税務手続きは、大きく2つに分かれます。
■ 税務署に対する手続き(法人税・源泉所得税・消費税など「国税」に関する届出)
■ 都道府県税事務所・市区町村に対する手続き(法人住民税・事業税など「地方税」に関する届出)
また、会社の状況によって必要な手続きも変わります。
■ 社長一人のみ(役員1名・従業員なし)の場合
■ 役員に加えて従業員を雇っている場合
■ フリーランス(個人事業主)から法人成りした場合
従業員を雇って給与を支払う場合には「給与支払事務所等の開設届出書」などが必要ですが、社長一人で当面役員報酬も支払わない場合は、これらの「給与支払」に関する手続きは発生しません(法人設立届出書など、その他の届出は別途必要です)。

税務署への主な届出を整理します。
☑ 法人設立届出書
・目的:新しく設立した法人であることを税務署に届け出る書類
・提出期限:設立の日(設立登記の日)以後2カ月以内
・対象:すべての法人
☑ 青色申告の承認申請書
・目的:「青色申告※」を選択するための申請書
・設立の日以後3カ月を経過した日、又は最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日まで
・対象:青色申告を選びたい法人
※青色申告とは、売上や経費などのお金の動きをきちんと記録(帳簿づけ)したうえで申請することで、優遇を受けられる制度。「白色申告」よりも優遇され、赤字を最長10年間繰り越して将来の所得から控除できる「繰越損失」など長期的なメリットも。
参考:国税庁丨所得税の青色申告承認申請手続(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
参考:国税庁丨青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm
☑ 給与支払事務所等の開設届出書
・目的:役員報酬や従業員給与の支払いに伴って発生する「源泉所得税」の管理のため、給与支払事務所を開設したことを税務署に知らせるための届出
・提出期限:開設日から1カ月以内
・対象:役員報酬や給与を支払う法人
「当面は無報酬でいきたい」「従業員はまだ雇わない」という場合には、不要なこともあります。ただし、途中から役員報酬を支払うことにした場合などは、そのタイミングで届出が必要になります。
参考:国税庁丨給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm
☑ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
・目的:源泉所得税を原則毎月納付する代わりに、年2回にまとめて納付できる特例を受けるための申請書
・提出期限:特に定めなし(原則、提出した日の翌月に支払う給与等から適用)
※適用を受けたい時期までに余裕を持って出しておくのが一般的
・対象:給与や報酬から源泉徴収を行う法人
参考:国税庁丨源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm
☑ 適格請求書発行事業者の登録申請書
・目的:「適格請求書(インボイス)※」を発行できる事業者として登録を受けるための申請書
・提出期限:登録までは一定の期間がかかる。
登録を受けたい日の概ね1カ月前には登録申請を行うなど、余裕を持って進めると安心。詳細は国税庁のサイトで最新情報の確認を。
・対象:取引先からインボイス発行を求められる可能性がある法人
※適格請求書(インボイス)とは、消費税率や税額を正確に記載した請求書のこと
参考:国税庁丨適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_01.htm
最新情報は、国税庁の各種ページでご確認ください。
参考:国税庁丨個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm
参考:国税庁丨新設法人の届出書類(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm

次は、都道府県税事務所や市区町村に対する主な手続きです。
☑ 都道府県・市区町村への法人設立届出書
・目的:法人事業税や法人住民税など、地方税に関する情報を届け出るための書類
・提出期限:設立の日から一定期間以内が多いが、自治体により異なるため注意が必要
東京23区などでは、専用の「事業開始等申告書」を提出する場合もあるため、『地域名+法人設立届出書』で検索して、様式と提出先を確認しましょう。
参考:東京都主税局丨事業を始めたとき・廃止したとき(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/scene/business
☑ フリーランスから法人成りした場合の「廃業届」
個人事業主として活動していた方が法人化した場合、個人事業は「廃業」の手続きが必要です。
所轄税務署への「個人事業の開廃業等届出書」に加え、都道府県や市区町村への届出が必要になる場合もあります。法人成りのタイミングは個人と法人の区分があいまいになりやすいため、「個人の廃業」と「法人の設立」をセットで整理しましょう。
参考:国税庁丨個人事業の開業届出・廃業届出等手続(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
会社の所在地や自治体によってルールや期限が多少異なるため、具体的な書式や提出先は必ず各自治体のホームページで確認してください。
参考:東京都主税局丨法人事業税・法人都民税(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/work/houjinji

設立直後の届出は、きちんと情報を調べれば起業家自身やバックオフィスメンバーでも対応できる内容が中心です。
自分で対応しやすい手続き
国税庁や自治体のサイトには、それぞれの届出書の様式と記載例が公開されています。
例:「内国普通法人等の設立の届出(法人設立届出書)」「都道府県・市区町村への法人設立届出書」など
参考: 国税庁丨内国普通法人等の設立の届出(閲覧日:2026年2月24日)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm
初期フェーズであれば、こうした情報を参考にしながら自分で進めるのも有効です。
専門家に相談したい場面
次のような場面では、税理士など専門家への相談を検討しましょう。
・売上が増え、毎月の取引件数や取引先の数が多くなってきたとき
・従業員を雇い始めて、給与計算・源泉所得税・社会保険の手続きが絡み始めたとき
・複数の事業を同時に行っている、海外との取引があるなど、取引の内容が複雑になってきたとき
「まずは自分でやってみる」スタンスは大切ですが、帳簿のつけ方や申告内容に不安があるまま走り続けてしまうと、後から修正に時間とコストがかかることもあります。
悩んだときは税務署や創業支援窓口、税理士に早めに相談できる体制を整えておくと安心です。

step1:自社の状況を書き出す
まずは、次のような項目を書き出します。
・役員数と役員報酬の有無
・従業員の有無
・法人成りかどうか
・インボイス登録の有無
そのうえで、この記事で挙げたチェックリストを見ながら、「自社に必要なもの」「当面は不要なもの」に〇×をつけると、やるべきことが可視化できます。
step2:期限付きの手続きはカレンダーに登録する
期限が決まっている届出は、カレンダーやタスク管理ツールに登録しましょう。
「誰が」「いつまでに」対応するか決めておけば、チーム内での抜け漏れ防止になります。
step3:不安な項目は相談先リストを作る
判断に迷う場面に備えて、次のような相談先をリスト化しておくと安心です。
・顧問候補やスポット相談に対応してくれる税理士
・自治体の創業支援窓口・商工会議所
・税務署の電話相談窓口

「税務編」として、設立後に必要な税務手続きを整理しました。
設立直後の慌ただしい時期こそ、手続きの全体像を俯瞰し、「いつまでに何をやるか」を早めに決めておくことが大切です。土台を整えておけば、その後の資金調達や採用にも取り組みやすくなります。
次の記事「労務編」では、社会保険・労働保険の加入や、スタッフを雇うときに必要な手続きについて解説していきます。
※記事リンク:「会社設立後の手続きチェックリスト【労務編】」
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