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2025.03.14
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様々な会社のリーダーや創業者の半生を追いかけて心躍らせる「創業者オタク すずきすい氏」に、多様な創業者たちの名言を紹介いただきました。今回は、挑戦者にとって強力な指針となる永守重信氏:ニデック(旧・日本電産)創業者の言葉です。
永守重信氏は、緻密小型モーターの開発・製造で世界一のシェアを持つニデック(旧・日本電産)を一代で築き上げた人物です。彼がこの言葉を残した背景には、逆境をチャンスに変え、そのチャンスをものにするべく、日ごろから備える姿勢があります。そんな永守氏は、創業当初、お金も設備も知名度もなく、大きな夢とロマンのみを持って事業をスタートしました。
1973年、創業メンバーは4人。自宅の納屋を改造して、モーターメーカーとして事業を始めました。創業以来、絶えず自ら高い目標を掲げ、自らを逆境を科し、それを乗り越えることで成長のチャンスをものにしてきました。戦略的なM&Aでは、これまでに70社以上ものM&Aを成功させてきました。創業当初の資金繰りが厳しく、銀行に何度も門前払いされた時から、常に逆境を意識し、それを乗り越えるべく奮闘してきたのでした。その軌跡の先に今の世界的なモーター企業、ニデックがあるのです。
永守氏の哲学は、「危機を恐れるのではなく、それを活かす。そのために日頃からとことん準備をする」という考えが濃く表れています。永守氏の「苦しいときことチャンス」という言葉の背景には、逆境をチャンスと捉えられる、日ごろの徹底的な準備の必要性が隠されています。
永守氏は、幼い頃から「なぜそんなにも怖がりなのか」と家族からも言われるほど、臆病者でした。しかし、この「臆病さ」「怖がり」こそ、経営においては、日ごろの準備を怠らない重要な要素であると考えているのです。会社が破綻する大きな要因の一つが財務です。お金に関するトラブルや誤りが、チャンスを潰していきます。永守氏はかつて資金繰りに悩み、自殺を図ろうとした経験があります。取引先の企業が倒産し、資本金を上回るほどの多額の不渡り手形を食らい、絶望したのです。人生を諦めようとした姿に見かねた母がなけなしの通帳を渡し、助けようとしてくれたことがありました。自身の情けなさに泣き、もうくじけるわけにはいかないと固い決意を心に刻みます。
どれだけ前向きでも、突然の財務危機に絶望的し、チャンスどころか周囲のことさえ見えなくなります。そうならないためにも、日ごろの備えが重要なのです。永守氏の言葉の「常に怠りない準備をして」という言葉には、そんなチャンスを掴む背景に、隠れた実体験から語られる思いがあります。
永守氏の言葉は、「苦境をチャンスに変える思考」と「チャンスを掴み取るための日頃の備え」を私たちに示しています。困難に直面したときに立ち止まるのではなく、それを次の成長のステップとすること、そして成長のステップが来た時にそれをものにするために、日頃からしっかりと基礎的なことを備え、行動しておくことで新たな道が開けるのです。
この名言から学べるポイントは以下の3点です:
・逆境を恐れず、チャンスとして捉える視点を持つ
・常に危機管理の意識を持ち、備える
・いざ逆境に直面した時、日ごろの備えを信じ、冷静に行動すること
これから挑戦を始める方にとって、この言葉は日頃の行動のモチベーションになるのではないでしょうか。ついつい、気が引き締まらない時もあるかと思います。ただ、いざという時のリスクを今の内から鮮明にイメージし、それに向けた準備を重ねることで、これから来る逆境はきっと成長のチャンスとして自分のものにできることでしょう。
言葉の力を纏って、さらなる挑戦へ。
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