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2025.11.13
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様々な会社のリーダーや創業者の半生を追いかけて心躍らせる「創業者オタク すずきすい氏」が、多様な創業者たちの名言を紹介していきます。今回は、乳酸菌飲料「カルピス」を生み出した創業者・三島海雲氏の言葉をご紹介します。


三島海雲氏は1878年、大阪の寺院に生まれ、僧侶の道を歩んだのちに中国・内モンゴルへ渡ります。そこで遊牧民が飲んでいた発酵乳「酸乳」と出会い、その栄養価と健康効果に衝撃を受けました。病気の際に酸乳を飲んで体調を回復した経験は、のちのカルピス開発の原点となります。
帰国後、彼は「他人と同じことをしていては生き残れない」という強い意志のもと、日本独自の気候や生活習慣に合う乳酸菌飲料の研究に没頭しました。数え切れないほどの試作と失敗を経て、1919年7月7日、日本初の乳酸菌飲料「カルピス」が誕生。甘酸っぱく爽やかな風味は瞬く間に人々の心をつかみ、やがて「国民飲料」と呼ばれる存在へと成長していきました。
この名言は、まさに三島氏が自らの挑戦の中で体得した実感から生まれたものだといえます。

三島氏の哲学の根幹には「独自性」があります。彼は、誰も手をつけていない領域を切り拓くことでしか未来はつくれないと信じていました。カルピスの開発も、当時の日本では前例のない乳酸菌飲料づくりという挑戦でした。
さらに彼は「国利民福(国の利益と民の幸福)」を理念とし、自らの事業が社会全体の利益につながることを強く意識していました。つまり、単なる差別化ではなく、「独自性によって社会に新しい価値を届ける」という使命感を持ち続けていたのです。
この考え方は今日においても、オリジナリティを武器に挑戦する起業家や学生たちへの大きな示唆となります。
三島海雲氏の「人のやることと同じことをやっていたのでは勝ち目はない。」という言葉からは、次の3つの学びが得られます。
① 独自性が道を拓く
同質化した市場ではなく、誰も見ていない方向に踏み出すことが未来の可能性を広げます。
② 失敗は挑戦の証
カルピス誕生までに重ねられた数々の試作は、すべて新しい価値のための礎となりました。
③ 社会的意義を伴う挑戦
事業は個人の利益だけでなく、「国と人々の幸せ」に結びつくとき、本当の意味を持ちます。
成熟した市場や変化の激しい時代においても、カルピスが示すように「独自性を追求する精神」こそが長く愛されるブランドの源泉となるのです。
言葉の力を纏って、さらなる挑戦へ。
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