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2026.07.29
読了時間目安
4分
起業に関心を持ち始めた方や起業準備中の方向けの「はじめてのビジコン入門」シリーズ。
シリーズ第2弾は、「初心者のためのビジコンエントリーガイド」です。
前回はビジコンの基本と参加のメリットを紹介しましたが、いざ出てみようと思っても、「何から手をつけていいか分からない」「自分のアイデアが応募していいレベルなのか判断できない」という声をよく聞きます。
今回は、①自分に合うビジコンの選び方、②募集要項のどこを見ればよいか、③締切までに何を準備すればよいか、の3点を中心に、エントリーまでの流れを整理します。優勝を目指す前に、まずは“ちゃんとエントリーまでたどり着く”ことを一緒に目指しましょう。

ビジコンは年間を通じて数多く開催されています。最初にやるべきは、自分に合うイベントを選ぶことです。次の3軸で考えてみましょう。
①対象者:学生向け/社会人向け/地域限定/業界特化型など
②テーマ・ジャンル:ソーシャル系、テック系、ヘルスケア系、自由テーマなど
③得たいもの:賞金、フィードバック、人脈、メディア露出、支援プログラム参加権など
最初は気になるものを直感で2〜3件ピックアップし、それぞれの募集要項をじっくり読み比べてみましょう。「自分の事業アイデアと相性がよさそうか」「実現できそうな準備期間か」を見比べることで、応募先の判断材料が揃います。情報源としては、自治体や大学の起業支援サイト、ビジコン情報をまとめたポータルサイト、スタートアップ系メディアなどを活用すると効率的です。

応募先の候補が決まったら、募集要項を丁寧に読み込みます。特に確認したいのは次の5項目です。
・応募資格:年齢、職業、居住地、所属など。学生限定や地域限定の条件は要注意
・募集テーマ:自由テーマか、特定領域(地域課題、SDGs、DXなど)に限定されているか
・応募方法:応募フォーム、メール添付、専用ポータルなど提出ルートと提出形式
・スケジュール:エントリー締切、書類審査の結果発表日、ピッチ審査日、最終審査日
・審査基準:新規性、市場性、実現可能性、社会性など、評価される観点
ここで初心者がやりがちなのが、「応募資格から外れている」「テーマがずれている」という要件外の応募です。せっかく準備しても入口で落ちてしまうのは非常にもったいないため、要件は最初に必ず確認しましょう。募集要項のPDFをダウンロードして、重要な箇所にマーカーを引いておくと、後で見返すときに便利です。

ビジコンのエントリーは、思いつきで応募ボタンを押す前に、締切から逆算したスケジュール設計が肝心です。初心者向けに、目安となるタイムラインを紹介します。
準備スケジュールの例
・締切4週間前:ビジコンを2〜3件に絞り込む。アイデアの言語化メモを作成
・締切3週間前:応募フォームの全質問項目を洗い出し、箇条書きで答えを書く
・締切2週間前:箇条書きを文章に整え、ピッチ資料のたたき台を作る
・締切1週間前:支援窓口や知人に見てもらい、フィードバックを反映
・締切3日前:最終チェック・誤字脱字確認・応募フォームへの転記
本業や学業と並行する場合、最低でも3〜4週間の準備期間があると安心です。直前になって慌てないためにも、「いつまでに何を終えるか」をカレンダーに書き込んでおきましょう。途中で迷子になりやすい人は、締切と中間ゴールを家族や仲間に宣言しておくと、適度なプレッシャーで進めやすくなります。逆に、締切まで1週間を切っているビジコンに無理に応募するよりは、次回開催を狙って準備したほうが、結果的に質の高い応募につながるケースもあります。

ビジコンによって違いはありますが、応募フォームにはおおむね次のような設問が並びます。
よくある設問例
・事業アイデアの概要
・解決したい課題とターゲット
・提供する価値・解決策
・収益の仕組み(マネタイズ方法)
・市場規模や競合
・チーム体制や自己PR
書き始めるときに大切なのは、いきなり長文を書こうとしないことです。まず各項目を箇条書きで埋め、論点が出そろってから文章に整えるのがおすすめです。
また、書籍やWeb上の応募テンプレートを参考にすること自体は問題ありませんが、丸写しは避けましょう。審査員は数十〜数百件の応募書類を読みます。テンプレ的な表現が並ぶ書類より、自分の言葉で書かれた具体的なエピソードや動機のほうが印象に残ります。「なぜ自分がこの事業に取り組むのか」「現場でどんな課題に出会ったのか」といった一次情報を盛り込むと、書類に厚みが出ます。応募書類で伝えきれない熱量や事業の魅力は、次回vol.3で扱う「ピッチ資料」で補っていきましょう。

「アイデアはあるけれど、書類に落とし込めない」「自分のプランがビジコンに出すレベルか分からない」と詰まる場面は、初心者であれば多くの人が経験します。そんなときは一人で抱え込まずに、相談できる窓口を活用しましょう。
代表的な相談先には、自治体の創業支援窓口、商工会議所の経営相談、大学の起業支援室(インキュベーション施設※)、スタートアップ支援団体などがあります。多くは無料で利用でき、ビジコン応募の相談にも応じてくれます。
※インキュベーション施設とは、起業家や創業間もないスタートアップに対して、オフィススペースの提供や事業相談、メンタリング、ネットワーキング機会の提供などを行う支援拠点。
相談に行くときは、興味のあるビジコンの募集要項のコピーと、応募フォームに書きかけたメモなどを持参すると、話が進みやすいです。「何が分からないか」が明確になるため、限られた相談時間を有効に使えます。一人で完成形を作ろうとせず、「一緒に準備ステップを整理してもらう」感覚で頼ってみてください。社会人であれば、職場の先輩起業家やビジコン経験者、SNSでつながっているスタートアップ関係者に声をかけてみるのもおすすめです。相談相手は1人に絞らず、立場の違う複数の人にフィードバックをもらうと、視点の偏りを防ぐことができます。
〈専門家コメント〉

㈱ツクリエ
インキュベーション
マネージャー
伊東 明彦
ビジコンに向けた実践的な準備として、メンターやコミュニティに相談する方法があります。創業当初は、特に経営者は孤独であり、故に事業計画が十分に練られていない、また客観的な判断ができないといったことがあります。孤独は精神的な苦悩も増します。一人で抱え込まず、創業支援施設やインキュベーション施設が実施している面談を有効活用すると良いでしょう。もしビジコンで思うようにいかなかったとしても、それは重要な経験となります。挑戦と結果に対して、客観的に評価し、改善・対応策を導き出し、実行できるかが大切です。

はじめてのビジコンは、完璧なビジネスプランを作る場ではありません。「アイデアを形にし、外からフィードバックをもらう第一歩」と捉えると、肩の力が抜けるはずです。募集要項の確認→スケジュール設計→必要書類の準備→支援機関への相談、という基本ステップを踏めば、初心者でもエントリーまで十分たどり着けます。完璧主義のあまり提出を見送るより、まず形にして提出することが、起業準備の経験値を一段引き上げてくれます。
まずは1つのビジコンに応募してみる。その経験を、次の挑戦や本格的な起業準備につなげていきましょう。
次回vol.3では、「ビジコン向けピッチ資料の作り方・基本チェックリスト」をテーマに、書類審査を通過したあとに必要なピッチ資料の構成や見せ方を紹介します。
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