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2026.11.05
読了時間目安
5分
起業に関心を持ち始めた方や起業準備中の方向けの「はじめてのビジコン入門」シリーズ。
シリーズ第4弾は、「審査員に伝わるピッチの話し方・時間配分のコツ」です。
前回vol.3では、ピッチ資料の作り方と提出前のチェックリストを紹介しました。資料が仕上がると、次に待っているのが本番の「発表」です。「せっかく資料はできたのに、本番で何をどう話せばいいか分からない」「練習すると毎回時間オーバーしてしまう」そんな不安を抱える人は少なくありません。
ピッチの評価は、資料の完成度だけでは決まりません。同じ内容でも、話し方と時間配分しだいで、伝わり方は大きく変わります。肩の力を抜いて、本番に自信を持って臨める状態を一緒に作っていきましょう。

ビジコンのピッチは、3〜5分の持ち時間で行われることが多いです。ただし持ち時間はビジコンやイベントによって異なるため、この3〜5分はあくまで“土台”と考えてください。まずは土台となる配分を組み立て、出場するビジコンの設定時間に合わせて情報を足し引きするのがおすすめです。限られた時間だからこそ、最初に「どの要素に何秒使うか」を設計しておくことが大切です。
おすすめは、時間を「①課題→②解決策→③なぜ自分たちか→④締め(お願い)」の流れで割り振ること。たとえば5分なら、課題1分・解決策1分半・なぜ自分たちか1分半・締め1分、といった配分が目安です。
ここで意識したいのが、「全部詰め込む」より「伝えたい1点に時間を集中させる」という引き算の発想です(vol.3で触れた“取捨選択”の考え方にもつながります)。あれもこれもと話すと、結局どれも印象に残りません。「今日、審査員に絶対に持ち帰ってほしい一言」を決めて、そこに時間を厚く配分しましょう。
持ち時間が7分・10分と長い場合は、この土台に情報を足していきます。優先度が高いのは、市場性(どれくらいの人が同じ課題を抱えているか)、売上の見込み、そして顧客からのフィードバックの3つです。特に実際にサービスを使った人の声は、事業の裏づけとして強く働きます。逆に3分未満と短い場合は、課題・解決策・締めの3つに絞り込みましょう。
こちらもあわせてご覧ください。
【vol.3】ビジコン向けピッチ資料の作り方・基本チェックリスト

話し方の基本は、「速さ・間・強調・視線」の4つです。
まずは速さ。緊張すると早口になりがちですが、日本語は1分あたり300字前後がゆっくり聞き取りやすい目安とされます。5分のピッチなら、原稿は1,500字程度が目安です。
次に間。大事な数字やキーワードの前後に、ほんの一拍“間”を置くだけで、その言葉がぐっと際立ちます。そのうえで、強調したいところは、少しゆっくり・大きめにしましょう。あわせて、結論から先に話す「結論ファースト」を意識すると、棒読み感を抑えることができます。
そして視線。原稿や足元ばかり見ず、審査員の目を見て話すと、熱意と自信が伝わります。

原稿は、いきなりキーワードだけで話そうとすると詰まりがちです。まずは話し言葉で全文原稿(フルスクリプト)を書き、時間を計りながら「削る」のがおすすめです。慣れてきたら、全文原稿を“キーワードメモ”へと段階的に減らしていくと、自分の言葉で話せるようになります。
練習は、声に出して時間を計るのが鉄則です。本番までの期間にかかわらず、せめて3回は通し練習をして、毎回タイムを記録しましょう。1回目で全体像をつかみ、2回目で時間を調整し、3回目で仕上げる、というイメージです。さらに、スマホで録音・録画して聞き返すと、早口な箇所や口ぐせ、「えー」の多さなどが客観的に分かります。時間オーバーと早口は、この“計る・聞き返す”の繰り返しで解消できることが多いのです。

スライドと口頭は、役割を分けると一気に伝わりやすくなります。基本は「1スライド=1メッセージ」。スライドには要点だけを大きく置き、詳しい説明は口頭で補います。文字を詰め込みすぎると、審査員は“読む”ことに気を取られ、話が耳に入らなくなってしまいます。
また、今どのスライドの、どの部分を話しているのかが伝わるよう、スライドを切り替えるタイミングと話の区切りをそろえましょう。「次に、解決策です」と一言添えてからめくるだけで、聞き手はぐっと付いてきやすくなります。

緊張は、準備の量である程度やわらげられます。全部を暗記する必要はありませんが、「冒頭の第一声」と「締めの一言」だけは丸暗記しておくと、出だしと終わりが安定し、途中で多少つまっても立て直せます。
そして、当日使える落ち着き方もお伝えします。発表前に、ゆっくり息を吐く深呼吸を数回。肩の力を抜き、背筋を伸ばして立つ。さらに、自分なりの直前ルーティン(水を一口飲む、など)を決めておくのも有効です。「緊張=準備してきた証」と捉えて、味方につけましょう。

ピッチ本番では、発表後の質疑応答も評価の対象です。審査員がよく聞くのは、「市場規模」「収益モデル」「競合との違い」「チーム体制」など。あらかじめ想定質問と回答を用意しておくと、落ち着いて対応できます。
答え方のコツは、結論から短く。「はい、◯◯です。理由は〜」と、まず答えてから補足します。もし分からない質問が来ても、ごまかさず「今は数値を持ち合わせていませんが、◯◯と考えています」「持ち帰って確認します」と誠実に返せば、印象を落とすことはありません。むしろ、その受け答えの姿勢が評価されることもあります。

どれだけ良い資料でも、本番の伝わり方しだいで評価は変わります。逆にいえば、「話し方」と「時間配分」を意識するだけで、資料の良さを最大限に届けられるのです。
ポイントは、①時間配分を設計する、②声に出して反復練習する、③想定Q&Aを準備する、の3点セット。これが本番の安心につながります。この記事を読み終えたら、まずは自分のピッチを一度スマホで録画し、時間を計ってみてください。現在地が分かれば、次に直すべきことが見えてくるはずです。
〈専門家コメント〉

㈱ツクリエ
インキュベーション
マネージャー
田嶋 竜也
起業すると、ビジコンのピッチのように審査員に審査され、他社と比較される場面が続きます。
審査員や将来の取引先になるかもしれない来場者の前での登壇は、緊張しますし、厳しい質問を受けることもあるでしょう。
しかし、既に書類審査を通過するだけの評価を得ているのです。
この記事のコツを押さえてしっかり準備すれば、落ち着いて自信を持って臨めるはずです。
ピッチは、事業の熱意を審査員に直接伝えることができる貴重な機会です。
結果にかかわらず、この経験は実際の事業を進めるうえで必ず力になります。
せっかく得た登壇のチャンスを、ぜひ活かしてください。
Q.ビジコンのピッチは何分で話すのが一般的?
A.コンテストにより異なりますが、3〜5分で行われることが多いです。応募要項に持ち時間と質疑応答の時間が明記されているので、必ず事前に確認し、その時間に合わせて原稿と練習を組み立てましょう。まずは3〜5分を土台に組み立て、持ち時間が長い場合は市場性・売上の見込み・顧客からのフィードバックを足していくと調整しやすくなります。
Q.ピッチ原稿は何文字くらい用意すればいいですか?
A.目安として、日本語は1分あたり300字前後がゆっくり聞き取りやすい速さとされています。持ち時間が5分なら、原稿は1,500字程度が一つの目安です。文字数だけでなく、大事な数字やキーワードの前後に「間」を置くことや、結論から話す「結論ファースト」を意識することも、聞き取りやすさにつながります。
Q.ピッチ原稿は全部暗記したほうがいい?
A.全文暗記はおすすめしません。丸暗記だと、一度つまったときに立て直しにくくなります。「冒頭の第一声」と「締めの一言」だけ暗記し、あとはキーワードメモを見ながら自分の言葉で話すほうが、自然に話すことができ熱意も伝わります。
Q.本番、とても緊張しそうです。何か対策はありますか?
A.緊張は、準備の量である程度やわらげることができます。「冒頭の第一声」と「締めの一言」だけでも覚えておくと、途中でつまっても立て直しやすくなります。水を一口飲むなど、自分なりの直前ルーティンを決めておくのもおすすめです。
Q.審査員の質問にうまく答えられるか不安です。
A.不安ですよね。まずは想定質問(市場規模・収益モデル・競合・チーム)への回答を準備しておきましょう。本番では結論から短く答え、分からないことは「持ち帰って確認します」と誠実に返せば大丈夫です。受け答えの姿勢そのものも評価されます。
【vol.1】ピッチって結局何?起業家が最初に知っておくべき基礎知識
(※vol.4公開後、追加)
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