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2025.09.17
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起業や法人化を検討する際に、株式会社と合同会社のいずれを選ぶべきか悩む方は少なくありません。それぞれ事業を始めるうえで十分な選択肢ですが、資金調達のしやすさや信用度、組織運営の柔軟性など、細かな特徴に違いがあります。この記事ではそのポイントや、他の法人形態も含めて客観的に比較します。
現行制度では、国内で新たに設立できる会社は【株式会社】【合同会社】【合資会社】【合名会社】の4種類です。実際の設立件数は株式会社・合同会社が中心で、合名会社・合資会社はごく少数派です。
なお、【有限会社】は2006年の会社法施行に伴い、現在新設することはできません。
会社形態 | 最低資本金 | 設立費用の目安 | 出資者の責任範囲 | 代表者 | 意思決定 |
株式会社 | 1円以上 | 約25万円前後 | 出資額まで(有限責任) | 代表取締役 | 株主総会+取締役会 |
合同会社 | 1円以上 | 約10万円前後 | 出資額まで(有限責任) | 代表社員 | 社員の多数決 |
合資会社 | 規定なし | 約6万円前後 | 有限責任社員と無限責任社員 | 代表社員 | 社員の多数決 |
合名会社 | 規定なし | 約6万円前後 | 全員無限責任社員 | 代表社員 | 社員の多数決 |
特徴
メリット
デメリット
特徴
メリット
デメリット
ケース例 | 適した会社形態 | その理由 |
身内・少人数ではじめる起業、公的義務を抑えたい | 合同会社 | 経営の柔軟性・費用負担の少なさ |
共同創業やパートナーと意見重視で始める | 合同会社 | 意思決定の連携が速い |
社会的信用や銀行・外部投資を重視 | 株式会社 | 取引先や金融機関に強み。資金調達がしやすい |
将来的なIPO・大規模展開を考えている | 株式会社 | 上場・ストックオプション・株式活用が可能 |
士業やコンサル、横のつながり重視 | 合同会社 | 信用度より中身の連携重視 |
非営利や地域活性、公益事業 | 一般社団法人・NPO法人 | 事業目的によって組織形態を選定 |
個人の責任範囲が広くリスクも高いため、小規模事業や信頼関係のある事業者向けです。
・合資会社:有限責任社員と無限責任社員が1名以上ずつ必要。
・合名会社:無限責任社員のみで構成される。
※「無限責任社員」は会社の債務全額を私財も含めて返済する義務を負い、「有限責任社員」は出資額までの責任を負います。
一般社団法人とNPO法人は、いずれも「非営利法人」と呼ばれ、社員(正会員など)に利益を分配しない仕組みが共通点です。ただし、事業目的や設立の条件に違いがあります。
・一般社団法人:営利・非営利を問わず幅広い活動目的で設立可能。手続きや登記も比較的簡単で、短期間で法人化が実現する。
・NPO法人:法律で定められた「特定非営利活動」20分野のいずれかで社会貢献を目的とする団体のみ設立可能。社員10名以上、理事3名・監事1名が必要。所轄庁の審査と認証があり、設立まで数ヶ月かかることも。税制優遇や社会的信用度を得やすいという一面もあり。
法人形態を選ぶ際は、その会社がどんな組織やサービスを目指すかも重要な観点です。例えば、ITやコンサル、クリエイティブ業種で「経営スピードや社内の連携」を重視したい場合は合同会社のフットワークが活きます。一方、企業ブランディングや大手との提携、外部から積極的に資金を集めて規模拡大を目指すなら株式会社が有利です。これらの視点をふまえ、自分にぴったりの会社形態を選択することが、開業後の満足度や事業拡大に結びつきます。
株式会社と合同会社は、日本の起業シーンで大きなポジションを占める法人形態です。費用・運営負担から資金調達や組織運営まで、自分のビジネス目標や事業スタイルに合致する会社形態を丁寧に選ぶことで、事業の安定・成長への一歩が踏み出せます。比較リストや事例を参考に、納得できるスタートを切ってください。
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