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2026.08.24
読了時間目安
5分
起業家や、これから起業しようとする人がぶつかる壁の一つに、「仲間探し」があります。
事業を成長させるには、自分とは異なる経験や強みを持ち、同じ未来に向かって動いてくれる仲間が欠かせません。しかし、「一緒に事業をつくりたいと思える人になかなか出会えない」「声をかけても参画してもらえない」と悩む起業家も少なくありません。
では、仲間候補に「この事業に関わりたい」「この人と一緒にやりたい」と思ってもらうには、何を、どのように伝えればよいのでしょうか。
IVS2026のトークセッションで語られた内容をもとに、起業の仲間を巻き込むための「未来の語り方」を考えます。
IVS2026とは
国内外から起業家や投資家、事業会社、スタートアップ支援者などが集まり、新たな事業や協業、資金調達のきっかけを生み出す、国内最大級のスタートアップカンファレンスです。
そもそも、なぜ起業に仲間が必要なのでしょうか。
事業が成長すると、求められる知識や判断、担うべき役割も増えていきます。そのスピードに、自分自身のスキルの成長が追いつかなくなることもあります。構想を形にするところまでは一人で進められても、事業をさらに大きくする段階では、営業、採用、組織づくり、資金調達など、一人ですべてを担うことは難しくなっていきます。
また、一人で考え続けていると、物事を見る角度や判断の基準が固定され、自分ではその偏りに気づきにくくなります。事業を前へ進めるには、自分に足りない知識や視点を補い、ともに試行錯誤してくれる仲間や外部リソースが必要になるのです。

ではどうすれば、仲間を起業に巻き込めるのでしょうか。IVSのトークセッションでは「自分の事業をいかに面白く語れるか」が重要であると語られていました。
「面白い」とはなんなのかを掘り下げると「常識を超えたアイデアがあること」「その事業が実装され、かなえたい未来が実現する可能性が見えること」だとトークセッションでは語られていました。予想を超えたことが、もしかしたら叶うかもしれない。そこに「面白い」要素があるのです。
また、「面白い」だけではなく、「この人と一緒にやりたい」と思われるかどうかも重要であると語られていました。事業に対するパッションを伝えることはもちろんですが、実は自分の想いを語るだけでは不足しているのです。
仲間を巻き込もうとするとき、起業家は自分の思いや事業の価値を強く語りがちです。しかし、一方的に熱意を伝えるだけでは、「面白そう」と思ってもらえても、「自分も一緒にやりたい」とまでは思ってもらえないかもしれません。
大切なのは、相手とともに実現したい 未来を語ることです。
相手は何に関心を持ち、どのような経験や強みを持っているのか。その力が事業と結びつくことで、何が可能になるのか。相手が加わることで事業がどう変わり、本人にはどのような挑戦や成長の機会が生まれるのか。
起業家が示すべきなのは、完成された事業計画だけではありません。その人が参加した先にある、まだ一人ではつくれない未来です。
「あなたの力が必要だ」と伝えるだけでは弱い。「あなたの力が加われば、こんな未来を一緒につくれる」と具体的に語る。そこまで描けて初めて、相手にとっての参画する意味が生まれます。
セッションで語られた内容を整理すると、重要なのは「相手とともに実現したい 未来を語ること」だと考えられます。

一方、仲間を巻き込む起業家自身にも、自他ともに「これはこの人に任せられる」と認識できる強みが必要です。
仲間を増やすことは、自分の役割をすべて手放すことではありません。事業を前に進めるためには、自分が責任を持つ領域と、仲間の力を借りる領域を見極め、それぞれの役割を適切に配分する必要があります。
例えば、自分は事業の方向性やプロダクト開発を担い、営業や組織づくりは、その領域に強い仲間に託す。反対に、営業を自身の強みとし、ほかの領域を仲間に任せる形もあるでしょう。大切なのは、自分が事業にどのような価値をもたらすのかを明確にすることです。
セッションでは、自分の強みを言語化し、その強みを成長させ続けることの重要性も語られていました。
仲間に参画してもらう以上、起業家自身も「この人となら事業を前へ進められる」と信頼される存在でなければなりません。仲間を巻き込む力は、未来を語る力だけでなく、自分自身が成長し続ける姿勢によっても支えられているのです。
では、仲間を見つけ、巻き込むために、何から始めればよいのでしょうか。
ここからは、トークセッションの内容を踏まえた考察です。
まず必要なのは、自分の事業の「面白さ」と、「仲間が加わることで実現できる未来」を言葉にすることです。
ただし、最初から完成された言葉をつくろうとする必要はありません。頭の中だけで考え続けても、その言葉が相手に響くかどうかは分からないからです。自分では分かりやすいと思っていても、仲間候補には具体的な未来が見えず、いまひとつ「ピンとこない」こともあります。
だからこそ、まだ粗くても、自分が描いている未来を実際に語ってみることが大切です。
相手がどこで身を乗り出したのか。どの言葉には反応が薄かったのか。何を質問され、どこで理解が止まったのか。対話の中で得られた反応をもとに、伝える順番や言葉を少しずつ磨いていきます。
事業そのものを小さく試しながら改善するように、仲間を巻き込むための語り方も、一度で完成させるものではありません。まずは稚拙でも語ってみる。その対話を重ねることが、「この人と一緒にやりたい」と思ってもらえる未来の語り方をつくっていくのではないでしょうか。

事業が成長すれば、起業家一人の知識や能力だけでは進められない場面が訪れます。しかし、事業の正しさや自分の情熱を伝えるだけで、仲間が集まるとは限りません。
必要なのは、相手の関心や経験に目を向け、その人が加わることで何が可能になるのかを語ることです。仲間を巻き込むとは、完成した未来へ相手を招くことではありません。まだ一人では実現できない未来を示し、「この未来を一緒につくりたい」と思ってもらうことなのではないでしょうか。
その言葉を、最初から完璧につくる必要はありません。まずは自分の事業の面白さと、仲間と実現したい未来を言葉にして語ってみる。相手との対話を通じて、少しずつ磨いていくことができます。
あなたがいま仲間にしたい人には、どのような未来を語りますか。
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