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2026.10.15
読了時間目安
5分
日々の業務ですぐに活用できる「AIでできる小技集」シリーズ第10弾。
今回は、「ひとり起業家の“経理”をAIで時短する方法」をテーマにお届けします。
請求・入金の管理、経費の仕訳、見積書や請求書づくり……。どれも売上に直結しないのに、月末や確定申告前になると確実に時間を奪っていく作業です。
「経理のAI化」と聞くと大企業の話に思えますが、実は事務も自分で回すひとり起業家ほど、恩恵は大きくなります。高価な専用システムは必要ありません。この記事では、今ある会計ソフトのAI機能+ChatGPT・Googleスプレッドシートでできる小技と、お金のデータを扱うときの注意点を整理します。
※この記事の内容は、2026年8月時点で公表されている情報をもとに作成しています。
制度改正の可能性があるため、詳細は必ず各機関の最新情報をご確認ください。

経理の作業は、細かく分解すると「入力」「分類」「書類作成」の繰り返しです。手順が決まっていて判断のパターンも限られる——つまり、AIの効果がもっとも出やすい領域です。
とはいえ、ひとり起業家が高額な経理システムを導入するのは現実的ではありません。
おすすめは、次の3つを組み合わせて小さく始めることです。
・会計ソフトのAI機能:
レシートの読み取り、自動仕訳、銀行口座・カード明細の連携。
・ChatGPTなどの生成AI:
分類のたたき台づくり、文面作成、データの要約。
・Googleスプレッドシート:
金額の計算、一覧管理、抜け漏れのチェック。
新しいツールを増やすより、「すでにあるものを組み合わせる」ほうが続けやすくなります。

毎月同じ相手に同じ請求をしているなら、まずは定型化から始めましょう。
step1)請求のマスタ表をつくる
Googleスプレッドシートに「取引先/金額/支払期日/請求書番号/入金済み」の列を用意します。毎月コピーして日付を変えるだけの状態にしておくのがポイントです。
step2)入金の消し込みを半自動にする
会計ソフトの銀行口座連携を使うと、入金明細が自動で取り込まれます。その金額とマスタ表を突き合わせ、「入金済み」欄にチェックを入れていきます。
step3)未入金をAIに洗い出してもらう
マスタ表をAIに読み込ませて、次のように指示します。
| プロンプト例 |
|---|
| この一覧から、支払期日を過ぎているのに入金済みになっていない取引を抜き出してください。あわせて、丁寧かつ催促感を抑えた入金確認メールの文面を作ってください。 |
「未入金の発見」と「連絡文の作成」を一度に済ませられるので、後回しになりがちな入金確認のハードルが下がります。

経費の仕訳は、多くの方がいちばん時間を取られる作業です。ここは2段構えで効率化します。
まず、レシートや領収書は会計ソフトのAI-OCR機能(画像から文字を読み取る機能)で処理します。撮影するだけで日付・金額・支払先が自動入力され、過去の登録内容から勘定科目まで提案してくれるソフトが増えています。
そのうえで、判断に迷う取引やまとめて分類したい明細は、AIに相談します。
| プロンプト例 |
|---|
| 以下は事業用クレジットカードの利用明細です。日本の中小企業の会計で使う勘定科目に分類し、『日付/内容/金額/勘定科目/判断理由』の表にしてください。判断に迷うものは『要確認』とし、その理由も書いてください。 (明細を貼り付け) |
ポイントは、『要確認』を出させることです。AIが自信を持てない取引だけを人が見れば済むので、確認の手間が一気に減ります。なお、明細を貼り付ける前に、カード番号や取引先の個人名は削除しておきましょう。

見積書・請求書づくりは、AIにたたき台を作らせてテンプレート化し、金額の計算はスプレッドシートに任せる——この分担で一気に速くなります。
金額の計算は、Googleスプレッドシートの関数に任せましょう。単価×数量、小計、消費税、合計までを数式で組んでおけば、計算ミスはほとんどなくなります。
一方、文面はAIの出番です。
| プロンプト例 |
|---|
| ◯◯(サービス名)の見積書に添える送付メールの文面を作ってください。相手は初めて取引する法人の担当者です。見積の有効期限(30日)、作業開始までの流れ、質問がある場合の連絡先を含め、200字程度でお願いします。 |
備考欄の書き方や支払条件の説明など、毎回悩む文章はAIに数パターン出してもらい、良かったものをテンプレートとして保存しておきましょう。2回目以降は、日付と金額を変えるだけで済みます。

会計データは、記録して終わりにするともったいない情報です。月末に5分だけ、AIに読ませる時間をつくってみましょう。
| プロンプト例 |
|---|
| この12カ月の月別売上と経費の一覧から、①売上の傾向、②増え方が大きい経費、③来月注意したい点、の3点を簡潔にまとめてください。 |
数字を眺めているだけでは気づきにくい変化を、言葉にしてもらえます。
あわせて「月初残高+入金予定-支払予定=月末残高」という簡単な表を作っておくと、数カ月先の資金繰りが見えるようになります。残高が細くなりそうな月が分かれば、早めに手を打てます。

便利な一方で、お金のデータは機密性の高い情報です。次の3点は、始める前に決めておきましょう。
・入力する情報の範囲を決める:
口座番号・カード番号・マイナンバー・個人名などは入力しない。取引先は「A社」などに置き換える。
・ツールを選ぶ:
入力データを学習に使わない設定があるか、法人向けプランがあるかを確認する。
・最終確認は人が行う:
AIが提案した勘定科目や金額を、そのまま確定させない。
また、帳簿や書類の保存には電子帳簿保存法、消費税の処理にはインボイス制度が関わります。免税事業者などからの仕入れにかかる控除割合が2026年10月から70%に変わるなど、要件は定期的に見直されています。制度に対応した会計ソフトを使い、迷う場面では税理士に相談すると安心です。
参考:国税庁丨令和8年度税制改正特集(閲覧日:2026年8月20日)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm

ひとり起業家の経理は、「入力・分類・書類作成」をAIに任せるほど事務時間を減らせます。高価なシステムは必要なく、今ある会計ソフト+ChatGPT・Googleスプレッドシートで十分に始められます。
大切なのは、スピードを上げつつ、最終確認と機密情報のルールは守ること。この分担さえ決めておけば、任せられる範囲は少しずつ広がっていきます。
まずは「今月AIに任せる1作業」を決めるところから始めてみてください。毎月必ず発生する定型作業から選ぶのがおすすめです。
Q.会計ソフトを使っていなくても始められますか?
A.Googleスプレッドシートと生成AIだけでも始められます。ただしレシートの読み取りや口座連携は会計ソフトの得意分野なので、取引数が増えてきたら導入を検討すると効率が上がります。
Q.取引データをAIに入力しても大丈夫でしょうか?
A.口座番号・カード番号・個人名などは削除し、取引先は「A社」などに置き換えたうえで使いましょう。入力データを学習に使わない設定があるか、法人向けプランがあるかも、ツール選びの目安になります。
Q.AIが提案した勘定科目は、そのまま使っていいですか?
A.そのまま確定させるのは避けましょう。「判断に迷うものは要確認と書いて」と指示しておくと、人が見るべき箇所が絞られます。迷う科目は税理士に確認するのが確実です。
Q.どの作業から手をつけるのがおすすめですか?
A.毎月必ず発生し、手順が決まっている作業から進めるのがおすすめです。請求書の発行と未入金チェックは効果を実感しやすく、やり直しもききやすいので、最初の一歩に向いています。
Q.確定申告もAIに任せられますか?
A.申告書そのものの作成は、会計ソフトや税理士の領域です。AIは、帳簿の下処理や不明点の整理、税理士に確認したいことの洗い出しなど、その手前の作業を助けてくれる存在と考えましょう。
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