LOADING
2026.09.14
読了時間目安
5分
起業準備中〜立ち上げ初期の方に向けて、ピッチの基本を整理する「起業家ピッチの教科書」シリーズ。
第2弾のテーマは、「10枚で伝わる!起業家のためのピッチ基本構成」です。
前回vol.1では、「ピッチって結局何?」という基礎をお届けしました。今回は一歩進んで、資金調達やビジネスコンテストでよく使われる「10枚前後のピッチ資料(ピッチデック)」の型を、具体的に見ていきます。
「何枚くらい、どんな順番でスライドを作ればいいのか分からない」
「とりあえず情報を詰め込んで、ごちゃごちゃした資料になってしまう」
そんな悩みは、“定番の型”を知るだけで大きく減らせます。この記事を読んで、起業家向け10枚ピッチの基本構成を理解し、自分の事業を10枚に当てはめて“たたき台”を組み立てられるようにしましょう。

資金調達やビジコンで使われるピッチ資料には、“定番の構成要素”があります。課題・解決策・市場・ビジネスモデル・競合・チーム・実績など、審査員や投資家が知りたいポイントは、ある程度決まっているのです。
これらを起業家向けに10枚前後へ整理したものが、この記事で紹介する「10枚ピッチ」です。この型を知っておくと、「どの情報を・どの順番で・どれだけ見せるか」の判断がぐっと楽になり、情報を詰め込みすぎたスライドから抜け出せます。あくまで“最初の型”なので、ここから自分の事業に合わせて足したり引いたりすればOKです。まずは型に沿って、全体像をつかんでいきましょう。

5〜10分のピッチを想定した、10枚の基本構成です。各スライドに「起業初期なら最低限これを書く」というポイントをメモしているので参考にしてみてください。
①タイトル・一言キャッチ
事業名と、「ひとことで何をする会社か」を示す。
②課題(Problem)
誰の、どんな困りごとか。具体例で「あるある」と共感してもらう
③解決策・サービス概要(Solution)
その課題をどう解決するかを、1枚でシンプルに
④市場・機会(Market)
どれくらいの人が困っているか(市場の大きさ・伸びしろ)
⑤ビジネスモデル
どうやって・誰からお金をいただくのか
⑥競合・代替手段との違い
既存の手段と何が違うか(自分たちの強み)
⑦実績・検証状況(トラクション※)
ユーザー数・売上・試作への反応など、進み具合の証拠
※トラクションとは、事業の進捗や手ごたえを示す実績のこと。
⑧チーム(なぜ自分たちか)
メンバーの強みと、この事業に取り組む理由
⑨今後の計画・ロードマップ
これからの見通し(半年〜数年先)
⑩今日のゴール・お願い
この場で求めるもの(出資・協業・紹介など)を明確に
大切なのは、この10枚がバラバラの情報ではなく、1つの流れ(ストーリー)になっていることです。
「こんな課題があって(②)→こう解決する(③)→これだけの人が求めていて(④)、こうやって稼ぐ(⑤)→似た手段より優れていて(⑥)、実際に手ごたえもある(⑦)→この私たちがやり切る(⑧⑨)→だから、こう協力してほしい(⑩)」
この順番で伝えることで、聞き手が自然と納得しながら話を理解できます。
各スライドは、まず「最低限これだけ」を1〜2行で埋めるところから始めてみましょう。
そのうえで、「デモ」も用意するのがおすすめです。特に短い動画は、サービスの価値が直感的に伝わり、審査員や投資家の理解が一気に進みます。言葉で長く説明するより、“見せて分かってもらう”のが近道です。
〈専門家コメント〉

㈱ツクリエ
インキュベーション
マネージャー
石田 圭太
10枚という制限は一見厳しく思えますが、実は何が重要か?という本質を研ぎ澄ます最高の訓練になります。記事にある通り、大切なのはスライド間の整合性です。情報を羅列するのではなく、課題から解決策、その先の未来まで、聞き手が納得感を持って頷ける一つのストーリーを紡げるかどうかが、ピッチの成否を分けます。いきなり完成度を求めず、まずは骨子を書き出し、そこから削る作業を繰り返してみてください。限られた枚数だからこそ、聞き手の心に刺さる要素が凝縮され、あなたの事業の解像度がより一層高まるはずです。またピッチ資料は発表する姿勢も大切です。抑揚をつけて、わかりやすく、どこでオーディエンスに注目してもらうか?専門的なワードを理解してもらえる環境なのかなども事前に予習しておくことで評価が変わります。

10枚のたたき台ができたら、一人で抱え込まず、外部の相談先を頼るのがおすすめです。起業初期に使いやすい相談先を紹介します。
・自治体の創業支援窓口:事業計画の全体感や、補助金・支援制度との相性を見てもらえます。
・商工会・商工会議所:マーケット感や収支計画の現実性、金融機関とのつながりに強みがあります。
・インキュベーション施設・アクセラレータ:スタートアップ特有のピッチや成長戦略の相談に向いています。
※インキュベーション施設とは、起業家や創業間もないスタートアップに対して、オフィススペースや事業相談、メンタリング、ネットワーキング機会の提供などを行う支援拠点。
これらの窓口の多くは、無料または低コストで相談できるのも心強いところです。事前予約が必要な場合も多いので、気になる窓口は早めに調べておきましょう。
相談する際のコツは、「10枚のたたき台」を持参し、相手ごとに“見てほしい点”を絞ることです。たとえば商工会議所には「収支計画は現実的か」、アクセラレータには「投資家に響くストーリーになっているか」と、質問を具体的にするだけで、短時間でも実りのある相談になります。何もない状態で「どうすればいいですか」と聞くより、たたき台を見せながら相談したほうが、アドバイスは何倍も具体的になります。
〈専門家コメント〉

㈱ツクリエ
インキュベーション
マネージャー
石田 圭太
日頃からご相談を受ける起業家の皆様は「完成してから相談しよう」と考えがちですが、それはもったいないです。なぜかというと、自分で生みだしたアイデアは無意識にえこひいきしてしまい、いいところばかりが見えてしまっています。顧客が本当に困っていることに辿り着くには恣意的な視点を排除することが必要です。第三者の視点が入ることで、自分では気づけなかった強みや、逆に論理の飛躍が見つかります。支援機関は皆様の挑戦を応援する伴走者です。ぜひ、未完成の段階こそ積極的に使いながらブラッシュアップすることをおすすめいたします。

完璧を目指すより、まずは型に沿って、自分の事業を10枚で説明する“たたき台”を作ってみましょう。一度たたき台を作っておけば、ビジコンや面談のたびに一から作り直す必要はありません。相手や持ち時間に合わせて見せ方を変えれば良いのです。たたき台は“自分の資産”になることをふまえ、取り組んでみてください。
次回vol.3では、伝わるピッチ資料に欠かせない「引き算」のテクニックを紹介します。
【vol.1】ピッチって結局何?起業家が最初に知っておくべき基礎知識
Q.ピッチ資料は何枚くらいが目安ですか?
A.10枚前後を基本に、イベントの持ち時間に合わせて増減させましょう。時間が短ければ要点だけに削り、長ければ補足を足す、という調整をするのがおすすめです。
Q.ピッチ資料に最低限入れるべき要素は?
A.「課題・解決策・市場・ビジネスモデル・チーム」の5つが基本です。まずはこの5枚を軸に、競合・実績・今後の計画を加えていくと組み立てやすくなります。
Q.スライドが多すぎる・少なすぎるときはどうすればいいですか?
A.まず10枚の骨子を作り、そこから調整します。5分なら「課題・解決策・チーム」に絞り、10〜15分なら市場や数字の補足を足す、という考え方が目安です。
Q.ピッチ資料について相談をしたいときは、どこに頼ればいいですか?
A.自治体の創業支援窓口、商工会・商工会議所、インキュベーション施設・アクセラレータなどが相談先になります。資料のたたき台を持参すると、相談がスムーズです。
Q.デモや動画は用意したほうがいいですか?
A.できる限り用意するのがおすすめです。特に短い動画は、サービスの価値が直感的に伝わり、審査員や投資家の理解が早くなります。言葉での説明を補う強力な武器になります。
この記事を読んだあなたに
おすすめの記事